なんくるないさ

ハゲタカジャーナル

medical

こんばんは。

ハゲタカジャーナルってご存知でしょうか。
英語だとpredatory journalで直訳は捕食雑誌、になります。

医者で、特に大学などにいると論文が求められます。
論文にも色々ありますが、原著論文や症例報告が一般的かと思います。

医学博士を取得する場合にも、大学によりけりですが、英文誌への数本の原著論文が求められ、インパクトファクターが高いほど評価される傾向にあります。

そして教授を目指すような人は、ばしばし論文を書いていくことになると思います。

今回は僕が経験したハゲタカジャーナルについて。
症例報告を投稿した際の経験を紹介します。

症例報告を英文投稿する場合、最近は例外はありますがメジャーな雑誌ではあまり扱わずに、症例報告を主とした雑誌が増えている印象です。

そして論文投稿する場合の形式として、オープンジャーナルというものが増えています。

今でも経験しますが、論文を検索して自分が欲しい情報がありそうな文献を見つけても、その雑誌が有料というケースがあり読めないことが多々ありますが、オープンジャーナルの場合投稿する著者が投稿費(APC)を支払うことで、読者は無料で閲覧することができ、結果として多くの読者に読んでもらえるため良いと、個人的にも思います。

私自身もこれまでに英文誌への症例報告はしてきておりました。

今回の経緯としては、いくつかの雑誌へ投稿するもコメントを頂いてrejectを繰り返し、さて次どこに投稿しようかと考えた時に、知っている先生の症例報告先を参考に見つけた雑誌でした。

HPをみても特に気になるものはなく、インパクトファクターの数値の記載もあり、投稿してみようという気持ちになりました。

実際投稿自体すごくシンプルで、これまで投稿してきた際の労力と比べるとラクだったな、というのが思い返した際の印象です。

その後、エディターキックを喰らわずに、under reviewとなり、一安心していると1週程でacceptの連絡が来ました。正直いくつかrejectになっていたこともありほっとした、というのが第一印象でしたが、数日後に支払いの請求書が来た際にびっくりしました。

日本円にして50万くらい??えっ、投稿費ってこんな高いものだっけ??

ネットをみてみるとすごくメジャーな雑誌で、かなり高額なAPCということもあるようでしたが、この症例報告でこれ??というのが率直な感想でした。

数日以内に修正期間、1週間以内に支払いを、というメール。

そこでネットで色々調べた末に、ハゲタカジャーナルの可能性を考えました。
これまでも名前は聞いたことがありましたが、まさかこれが、という印象。

Web of Science (Clarivate Analytics社)
Scopus (Elsevier社)
Directory of Open Access Journals (DOAJ)

上記のようなもサイトからきちんとしたジャーナルか確認できるとのことで、このジャーナルを検索してみると出てきません、、、ハゲタカさんでした。

HPに記載されているインパクトファクターは真っ赤な嘘でした。

ハゲタカさんとトラブルで検索すると、投稿の取り下げができず、金銭トラブルになるや、仮に支払ってpublishされても、逆にこのような雑誌に投稿している時点で信用されない、など悪い話が出るは出るは。。。

取り合えず修正期限までに修正しないとこのままのpublishに同意したことになる、とのことで、早々に内容を消去し登録、そしてjournalへの投稿取り下げのお願いのメールをしました。

早々に非常に丁寧な返信が、そして特別に値下げしてくれるとのこと。

払えない旨を記載し返信すると、さらに値下げの提案、投稿取り下げる場合はさらに高額な費用、の提案でした。全くこちらの希望に沿ってくれる様子はありません。

仕方ないのでこの時点で今回の症例報告は諦めることを決意し、かなり強めの返信をしたところその後は返信が来なくなりました。

しかし投稿取り下げが認められていない以上、二重投稿の可能性もあり、この症例報告は他の雑誌への投稿もできずに諦めることとなりました。

この時のケースは自分自身が諦められる症例報告であったのが不幸中の幸いでしたが、これが仮に学位論文だったり、相当力を入れた原著論文だったりすると、進むも地獄、引くも地獄、という感じで、懐も含め非常にキツイ状況だったなと感じます。

この時の経験から言えることとして、
明らかに有名な雑誌や投稿したことある雑誌は良いですが、新しい雑誌に投稿する際には、上で紹介したようなサイトにもアクセスし、HPの情報は鵜呑みにせずに確認することが非常に重要だなと感じます。
一旦投稿してしまうと本当に最悪です。

ちなみにここからは余談ですが、世の中には様々な胡散臭い商売もあり、そのような商品で引用されるような論文の投稿先としてこのような雑誌を選ぶ場合、お金さえ払えばもちろんpublishされますが、ハゲタカさんは投稿取り下げをお願いするとどんどん投稿費を下げてくれるので、そのような目的の方は試してみてもいいかもしれません。

おやすみなさい。