子宮頸管縫縮術

otherside

こんばんは。

たまには産科ネタを。

子宮頸管縫縮術、というものを聞いたことはありますでしょうか。

その名の通り子宮の頸管を縫い縮めることですが、子宮頸管無力症に対して行われる術式です。

では子宮頸管無力症とはなにかというと、その名の通り、子宮頸管に子宮内容物(胎児や羊水など)を保持する力がなく、子宮頸管が開いてしまう病態です。

産科疾患で、切迫流産や切迫早産というものがあり、これは流産が切迫する、早産が切迫する状態で、本当に分娩が進んでしまうと、ベビーが生存できないような週数の場合は流産、生存できるような週数であれば早産となります。

大抵は筋肉である子宮が収縮することでそうなるため、入院の上で子宮収縮抑制剤というものを用いて妊娠期間の延長を図りますが、子宮の収縮がないにも関わらず、子宮の入り口である頸管が開いてしまう場合を頸管無力症と言います。

日本の産科ガイドライン的には、早産歴がある妊婦が早い週数で子宮頸管が短くなる場合に、頸管縫縮が選択肢となる、と自分は理解していますが、実際は初産や早産歴がない場合にも起こりうるため、手術の適応に迷う場合があります。そして、施設によって縫縮術の適応はかなり差があるように感じます。具体的には開業医などでは本来適応がないかもしれないような場合にも心配だからという感じで縫縮されていたり、逆に大きな病院では適応を満たさないため施行しないで経過をみていたところ流産、早産に至った、というような具合です。

子宮頸管縫縮術にはシロッカー、マクドナルド、という2つの方法があり、

前者は腟粘膜を切開の上、膀胱や直腸を子宮頸管より剥離した上で内子宮口側を縫縮、後者は剥離はせずに可能な範囲で縫縮という感じです。とはいえこちらの術式についてもざっくりいうと上記ですが、使用する縫縮糸の種類や方法、シロッカーの場合に切開した腟粘膜の縫合の有無ややり方が様々な印象で、まあ、いろいろです。

まあ何を伝えようとしているかというと、
もともと私が勉強させてもらった施設は感染の懸念から、縫縮術の適応がかなり消極的でありあまり経験することができず、その後の施設では、縫縮をする機会が度々あり、かなり有用な印象に変わってきた為、もちろん適応は大事ですが、本来適応があると考えられる症例には積極的に縫縮術を行なっても良いかも、と感じた、というお話でした。

おやすみなさい。