婦人科腫瘍、化学療法で治るやつ。
今日は、化学療法だけでも治る婦人科悪性腫瘍について
基本的には
子宮頸癌 → 手術 または 放射線治療 ± 化学療法 子宮体癌 → 手術 ± 化学療法 卵巣癌 → 手術 ± 化学療法
が根治治療です。そして、いずれの場合も進行癌は基本的に根治は困難です。
そういった中、化学療法だけで根治することがある悪性腫瘍が2種類あります。
そしてこの2つは進行癌でも根治を期待できます。
絨毛癌と悪性胚細胞腫瘍
絨毛癌について
今や非常に稀な腫瘍で、国内で年間100人もいないような悪性腫瘍です。妊娠に伴う絨毛細胞由来のもので、絨毛性疾患としてよくあるものは胞状奇胎とかそれが転移した侵入奇胎というものですが、さらに悪くなったものです。転移巣の出血、みたいな症状で発症することが比較的多く、例えば脳転移の出血だと脳出血やくも膜下出血みたいな症状、肺や肝臓、脾臓転移巣の出血、子宮の病巣からの出血など、致命的な出血性ショックのような症状で搬送されてくることが多い印象です。
基本的には初めの搬送時の状態から救命できれば、その後EMA/COという多剤化学療法を行えば根治を期待できます。
悪性胚細胞腫瘍について
こちらはかなり若年に多く、個人的には10歳前後、上が20代後半くらいの子が多い印象です。以前には非常に予後不良で、データによっては2年生存率0%みたいなのもみたことがあります。その頃は初回からどんな拡大手術をしても救命できなかったようですが、BEP療法という治療法で、かなり根治を期待できるようになっています。今はそれこそ患側の付属器のみ切除し診断確定すればBEP療法を行うことで、他に病巣が残っていても根治を期待でき、かつ、その後妊娠、出産する方も多くいます。
いずれも非常に予後不良であった腫瘍が化学療法で根治を期待できるという点で、非常にやりがいのある治療ですが、スケジュールを守った治療を徹底するため、副作用や合併症をしっかり対応しながら、本人に頑張ってもらう必要があります。
かなり辛い治療を頑張ってもらっており、再発せず、その後妊娠、出産までされると、本当に嬉しいです。
最近は免疫チェックポイント阻害剤含め分子標的薬なども盛んであり、いずれは薬物治療で悪性腫瘍がさらに根治できる時代が来るのでしょうか?そういう日が来ることを願います。