腹壁破裂
こんばんは。
前回、胎児異常について触れたので、具体的な紹介を。
腹壁破裂について
なんだかすごくヤバそうな名前ですよね。もしお腹の中の赤ちゃんが腹壁破裂が疑われます、なんて言われてしまうと、気が動転してしまうと思います。
その名の通り、胎児の腹壁が破裂していて、腹腔内の臓器が脱出している状態です。
教科書的にはお母さんが若年で、喫煙歴などがリスクとして挙げられているようです。
臨床的には臍帯ヘルニアとの鑑別が重要なようです。
何それ、という感じですが、ざっくりいくと、
腹壁破裂は腹壁が欠損していて、小腸などが脱出しているもの、 臍帯ヘルニアは、臍帯部がヘルニアとなり袋に包まれた状態で脱出しているもの、という感じ。ただ包まれていた袋が破れることもあり、そうなると腹壁破裂と同様の腸管脱出の所見になるかと思います。
この二つを鑑別、つまり区別することが重要な理由として、一番は染色体異常の有無の頻度の違いが挙げられます。
腹壁破裂は名前の激しさに比して、染色体異常は少ないと言われているようで、出生後の手術を含めた治療はもちろん必要ですが比較的予後が良いと言われる反面、臍帯ヘルニアは袋に包まれていて破裂よりはましな印象を受けますが、実際はこちらの方が合併器形などを認めることが多く、予後不良なことが多いようです。
腸管の脱出の見え方から、両者を疑うわけですが、ヘルニアの破裂を呈すると、腸管の見え方自体は同様であり、その他に異常所見がないかで、鑑別を進めることになります。とはいえ通常は異常所見を認めた時点で腸管の露出の有無はわかることがおそらく多く、またその他に明らかな異常所見を認めない、などで、超音波検査所見のみである程度診断をつけつつ、妊娠管理をしていくことになるかと思います。
そして、臍帯ヘルニアを疑う場合は、染色体検査の頻度も考慮しより羊水検査などを行う可能性もありますし、腹壁破裂であればより引き気味になっていく印象です。
前回も述べたように、一般的には確定検査と言われる羊水検査でも絶対ではありませんし、ましてや非確定検査のNIPTなどは非確定と言っているようにこれ自体も確定ではないためなかなか難しいですが、赤ちゃんの異常を言われたお母さん、家族はものすごい不安にさらされており、少しでも何かしらの情報を求めることもあるかと思うので、一つの情報として非侵襲的なNIPTなどはより利用できやすくする環境の構築は今後さらに重要なのかなと感じます。