婦人科腫瘍の分類、稀なやつ。
こんばんは。
これまで婦人科腫瘍の分類として、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、そして化学療法で根治を期待できる絨毛癌、悪性卵巣胚細胞腫瘍について簡単に紹介しました。
本日はその他について、思いつくものを。
外陰癌、腟癌、卵管癌、腹膜癌、下床癌など
まず外陰癌について
これは高齢者に多い癌です。部位、および高齢ということもあり、受診を控えられていた方が多い印象です。 診断がつけば、ある程度のマージンをつけて切除し終了ということが多いですが、病変の広さや部位によっては、形成外科の先生に手術支援頂いて皮弁形成などすることもあります。
皮弁形成とは、腫瘍を切除してその部位の皮膚を引っ張っても閉じれないような際に、遠くの皮膚を切開して伸ばしてきて、一見パズルしてるような感じで別の場所に縫合して傷を閉じる方法です。印象としては傷が開くこともあったり、合併症起こすこともありあまりしたくない印象です。
腫瘍の広がり方として、鼠蹊部のリンパ節に広がることがあり、そこを郭清などすることもありますが、骨盤内のリンパ節を摘出する場合と比べると、下肢のむくみなど起こすことが多い印象です。
局所的な場合、比較的手術で取れれば再発しない方も多い印象なので、術後のQOLを意識した治療が望まれます。
進行癌の場合は放射線治療が選択されることもありますが、こちらはなかなか進行癌であることもあり厳しかったりします。また皮膚に対する放射線治療となり、やけどが問題となることもあります。という感じ。
腟癌はさらにまれ、たまに若い方もいました。
基本的には放射線治療かもしれませんが、上側、子宮頸部に近い場合は、子宮頸癌同様の広汎子宮全摘が選択肢になることもあります。
卵管癌、腹膜癌は卵巣癌と基本は同じです。
卵管癌の場合は、特徴的な画像所見、という印象くらいでしたが、近年は卵巣癌の原因が卵管ではないかと言われており、いずれはすべて卵巣癌が卵管癌と呼ばれる日が来るかもしれません。
腹膜癌は卵巣に明らかな腫大のない、腹膜播種を呈した、またその他の原発疑う所見がないものを言います。治療が卵巣癌と同じであり婦人科で卵巣癌に準じた治療を行います。播種以上なので基本3期、4期であり、予後は悪いことが多いです。
最後は下床癌について。
これは外陰の悪性腫瘍に分類されると思いますが、外陰パジェットなどの上皮性病変の基底膜下で浸潤性に増殖する悪性腫瘍です。すごくまれな印象で、予後不良な腫瘍です。パジェット病の稀に併発してくるようです。
ちなみに出てきたのでパジェット病についても。
これは上皮性病変で、稀に下床癌などを併発しなければ基本的には浸潤、転移などをするわけではないようですが、掻痒感などの症状が強く手術することがあります。病変が広いことが多く、先程の外陰癌以上の範囲で切除することもあり、皮弁形成も併用することもあります。繰り返しですが外陰部に皮弁形成するような手術は、術後の患者さん本人のQOLが最も懸念され、手術前の生活が一変する可能性もあり、十分に検討した上での手術が望まれます。
婦人科腫瘍の大まかな分類については以上です。