NIPT
こんにちは。
本日はほとんどの方はなかなか聞き慣れない胎児異常について。
胎児異常と言っても、非常に幅広く、また非常に難しいです。
一般的には、高齢妊娠でダウン症のリスクが上がる、ということは知られており、該当する年齢を超える場合に羊水検査した方が良いかどうか、という質問を受けることが多々あります。
経次的に挙げていくと、
① 高齢妊娠
② 前児に染色体異常
というのが妊娠された時点でまず胎児異常を心配するポイントです。
(もちろん関係なく心配される方は多いです)
そして医療者側としては、自然妊娠成立した場合(流産になることも多いです)、よくあがるのが妊娠初期の
③ NT肥厚やcystic hygromaなど浮腫や嚢胞を伴う場合
に、染色体異常などを疑うことがあります。
程度によって率も大きく変わりますが、この時点でも結局は経過をみるしかありませんが、消失してくる場合には結果的に異常がない、ということもあります。程度によってはこの時点で羊水染色体検査を行うこともあります。
そこを過ぎると
④ 20週前後の胎児の異常所見の有無
になってきますが、この頃に異常所見を認める場合は急にぱたぱたすることがあります。というのは、明らかに予後不良な染色体異常が疑われる場合に、検査を出して(羊水染色体検査という確定検査)、その場合は妊娠を中断するという前提になることが多いですが、その上で処置をする猶予が少ないことがある、ということです。21週6日までに分娩とならなければ、それ以降は処置はできません。
22週0日を過ぎると中絶という選択肢はなくなるため、赤ちゃんの異常に応じて、これもまた千差万別の対応が考えられ、予後なども考慮しながらの分娩時期、方法、施設、分娩後の蘇生処置の程度などが検討されます。
ということを踏まえると、妊娠した時点でできる検査をしたい、という人はいると思います。
しかし実際のところ、羊水検査による染色体検査は侵襲もあり、明らかな適応がなければ検査へのハードルは高いです。また個人的には、これが異常なくても、遺伝子異常による多発奇形などを経験したこともあり、絶対正常というわけでもないため、明らかにトリソミーを疑う所見があり、また結果によっては妊娠を中断するなどでなければ、引き気味になる検査です。
ただ近年は非侵襲的な検査もあり、どうしても気になる、親からの強い希望など、何かしらの不安がある場合の選択肢として、NIPTなども検討できるようです。
染色体異常や遺伝子異常に詳しい臨床遺伝専門医を有するようなDrのもとで、カウンセリングなどを受けた上で、また異常があった場合も想定した上であれば、血液検査のみの検査でもあり、非常に敷居は低く、うまく調整すれば恩恵に預かれる人は多いのではないかという印象です。
実際は現状大きな病院だと倫理的な面への対応などもありスムーズに行えないところも多く、一方民間のクリニックでも検査できるところが出てきておりますがそこは本当に異常があった場合の対応などが問題となってくるのかと感じます。