統合失調症と妊娠
統合失調症の有病率は1%程度と、少なくない。
昔は、「社会的な隔絶」や、外来管理できても「第一世代抗精神病薬の副作用の抗プロラクチン血症による薬剤性無月経」のため、生殖能の低下が指摘されていた。
現在は、「早期退院を目的」とした治療や、1996年のリスペリドン登場以降の「第二世代抗精神病薬により有害事象の減少」により、統合失調症合併妊娠例が増加。
このように考えられる患者さんもいるかもしれません。
またそもそも受診していない方もいらっしゃると思います。
結論
妊娠前から、妊娠した場合を相談しておく
クスリは継続でok
統合失調症
統合失調症は単一疾患ではなく、症候群
遺伝的な要因と環境的な要因双方によって起きると考えられている。
実はトラウマが影響している可能性も(複雑性PTSD)
症状
陽性症状(幻覚、妄想など) 陰性症状(感情鈍麻、自発性の低下など) 認知機能障害
治療の基本は「薬物療法」「休養、環境調整」「心理社会療法」
及ぼす影響や頻度からみると、人類を苦しめる最悪の病気のひとつとも。
経過の良し悪しは、処方通り内服継続しているかどうかに大きく左右される。
妊娠関連の問題点
予期せぬ妊娠

統合失調症の方は、不特定の相手と性的な関係を持ちやすい、避妊しない傾向、それらにより望まない妊娠リスクがあることを指摘。
医療者はその可能性を念頭におく必要
そして本人も、そういう傾向があることを自覚することが大切かも。
妊婦検診に来ない
妊婦検診の受診率が低い、という報告がある。
妊娠は命がけであり、少なくとも母体のためにも妊婦検診は必須。
もちろん赤ちゃんにとっても。
妊娠は本当に命がけ、加えて精神症状の変動のリスクもあり、定期通院は必須です。
クスリのまない
先天異常の自然発生率は2-3%、そして、抗精神病薬を服用していてそれ以上の先天異常発生率の報告はない。
第一世代、第二世代関わらず。
抗精神病薬の血糖への影響で、妊娠糖尿病との有意な関連の報告はあり、その場合は薬剤調整を考慮。
妊娠中の薬、クエチアピン も参照。
授乳に関しても、日本の添付文書は脅し文句が書かれている(完全に否定はできない)が、内服継続のメリットの方が断然大きい。
社会的
予期せぬ妊娠と関連して、離婚、シングルマザー
認知機能障害に伴う就労困難、経済的困窮
ストレス脆弱性による気分変動や病状再燃
ひとりで抱え込まず、積極的に行政などの支援をうける
統合失調症、いずれは内服なしの生活を目標に、でok でも今回の妊娠の間は、内服を自己中断せずに継続しましょう 妊婦検診にはしっかり通って、かかえこまずに相談を 1か月検診後は、生活の悩み事があれば、抱え込まずに役所などにも相談を
統合失調症と言われているなら、いろいろ助けをかりましょう。