医局
私自身医局に15年以上在籍していました。
初期研修でのローテーションが始まって以降、大学以外で専攻医になるなど医師にとって選択肢が増えたのはすごくよいことだと感じます。
一方で、自由が増したために、地方大学から都会へ研修に行く傾向、診療科間のQOLの違いが明らかとなり各診療科専攻医数の偏りが生じたこと、そして直近は自由診療の台頭など、これまでの奴隷医による医療制度継続が困難になってきており、医療崩壊が切迫した状況となっています。
今回は医局のメリット、デメリットについて、私個人の感想を述べたいと思います。
1 教育
良くも悪くも、医局員であることは、教えてもらえる、指導してもらえる、変わってもらえる、など他の医師との、家族といっては気持ち悪いですが、特別な関係があるように感じ、少なくとも複数の上級医から指導をうけることが出来ること、多くの施設を回れること、その際に最低限の指導を受けれることはメリットだと感じます。外科系など手術や手技を学ぶ際には、現在多くの動画などのコンテンツも存在しますが、直接指導してもらわなければ実際行うこと、習得することは難しいです。マイナーになれば、大学一択になってくるでしょうか。
2 資格
専門医などは在籍していれば基本的には自動的にとれます。実際専門医は3-4年で取得できる資格であり、脱線しますが、専門というよりは最低限のトレーニングを受けた保証という程度です。サブスぺ程度で初めて少しは専門といって良いような印象です。専門医なくても経験豊富な先生もいます。若い世代だとないと変わった先生だと思われるかもしれません。専門医は医局に入らなくてもとれるので、サブスぺと、一番は医学博士が医局のメリットだと思います。医学博士も取得のしやすさは大学、診療科でかなり差があると思います。とはいえ、なくても食べてはいけますし、最低限の専門医とってしまえばもういいかもしれません(繰り返しですが専門という意味では、専門医は全然不十分)。
3 経済面
医局によると思います。結構差がある印象で、大学でも良いところは良いと思います。ただ働き方改革の影響がバイトに結構影響しているかもしれません、悪い意味で。私がいたところは、良い方と思わされていましたが、そんなことはなかったことが今は明らかになりました。基本的には医者はまともに頑張るほど収入は減ると思っています。
4 人生
医局に所属していると時間外、生活のためのバイト、大学の行事、医局関連の行事、学会関連、講演会関連など、予定がいっぱいです。
子供と過ごせる時間が減るのが、最大のデメリットです。
そして、医局人事によっては、妻の仕事や家族の学校に影響するため、そこもひどいデメリットです。
小さい子供がいる場合、一緒にすごせる時間は何よりも幸せな時間であり、また子供の成長にとってもすごく大切な時間です。
時間の拘束は、医局の最大のデメリットだと感じます。
私自身は一人前になるために、無駄だったとは思いませんし、後悔はありませんが、早い時点で結果的にやめることになったことは、人生においてはものすごい良い結果だったと感じています。
無理して働けていた場合、おそらくあの生活が続いており、子供との時間も過ごせず、自己満の論文は多少増えていたかもしれませんが、今のような心境には到底至らなかったと感じます。
研究や学会活動が好きな場合は是非続けて欲しいですが、迷いが生じている場合、真剣にご自身の進路を考えた方がよいと思います。
医局をやめてのデメリットは、医局関連の人間関係や仕事への不満がなくなることくらいじゃないでしょうか。
いくらでも勉強すること、楽しめることはあるので、まずは心の余裕を確保しましょう。