トラウマ
トラウマ、という言葉は多くの人が知っている言葉だと思います。
そして、本来の外傷の方ではなく、心的外傷、の方を思い浮かべる人が多いと思います。
トラウマだよ、などと、怖いエピソードを思い出しながら話す人は多いと思います。
ただ多くの人は冗談のようなニュアンスで話されているのではないでしょうか。
実際、本来の意味でのトラウマ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、定義上は、命に関わるようなエピソードがきっかけとして存在する必要があります。または、それに準じるような衝撃を来たしうるエピソードが必要です。
なのでまさか自分が・・・と冗談のようなニュアンスになるわけですが、
ですが、実際のトラウマは多くの人が感じるよりも、より多く存在します。
そしてその多くが、本人がトラウマと認識しないものが含まれるように思います。
複雑性PTSDという概念があります。
その名の通り複雑ですが、よく知られている例としては、幼少期からの持続的なトラウマ、これは家庭環境が大きく影響します。
以前ACE(小児期逆境体験)について紹介しましたが、それらに挙げられるようなもの、両親の離婚などよくあることもリスク因子に含まれます。
また一般に思われる暴力だけでなく、ネグレクトや無視されるなどのエピソードも、トラウマと来たしうる原因になります。
特別なエピソードを有するトラウマであれば、そのエピソードの対処など、何かしらの対応策が有効なことがありますが、複雑性PTSDをきたすようなもの、愛着、アタッチメントに関連するものは、なかなかすっきりいかないことが多いです。
複雑性PTSDに対する治療は薬メインというよりは、心理療法が重要になってくると思います。
そして心理療法について、様々なものが存在しますが、その中で、身体感覚を絡めた治療が効果があるのではないかと感じます。
実際のトラウマを、そのエピソードを深掘りするのは、辛いと思います。
なので、その辛い気持ち、感情の部分のみでも軽減できる治療が望ましいものじゃないかと感じます。
一般化が難しく、RCTなども難しい分野ですが、すごく必要とされる分野だと感じます。
ヒトの心を学ぶ上で、トラウマは避けては通れない重要な概念です。
様々なアプローチを学んでいきたいです。